鬼怒川決壊現場。決壊から21日後、自分の目で現場付近を見て、歩いた。
あの日、自宅や実家の心配をしながら、鬼怒川の水量を見に行ったり、僅かな荷物を運んだり、友達の実家の様子を見に行ったり、とにかく心配でそわそわしていました。
そして、常総市三坂町の恐ろしい光景がテレビに映りました。
それからはテレビをつけっぱなしにして、これ以上被害が大きくならないように祈りながら、不安や心配を子供たちに見せぬよう、「普段のママ」を必死にやっていました。
それから数日が経ち、通行止めが解除され始めると、私は自分の目で決壊場所を見ておきたいと思うようになったのです。不謹慎な野次馬根性かどうか、自分でもわかりません。それでも、どうしても見ておきたかった。
自宅の片付けや支援物資の提供・運搬、慣れない環境での生活、子供たちの体調不良、等々、全く行ける気がしません。
そして、災害から3週間。
天皇皇后両陛下が被災地・常総市を訪問される今日、やっと、行ける時間ができました。
天皇皇后両陛下が訪れる1時間ほど前に、三坂町を、決壊場所付近を、歩いて見てきました。
横倒しになった家屋、斜めに傾いた電柱、ひっくり返ったままの車両、寸断された道路。
涙が出てきました。
言葉に表せない感情が込み上げました。
テレビで見る映像はどこかフィクションのように映ります。世界各地で発生する災害、紛争、事件、事故、テレビを通すと、どこか「自分には関係ない」ように映るのは何故だろう。
こんなにも近い場所で実際に家が流されたりしているのに、やはり、自分の足で歩いて、自分の目で見るまで、ほんの少しだけ、「嘘かもしれない」「信じたくない」気持ちがあったのかもしれません。
デコボコの土地、ところどころ水溜りがあり、工事車両がある。電柱は斜めになり、民家が傾き、生命の気配がない。
足裏から伝わる大地のエネルギーから、「嘘じゃなかった」を実感。
一人で来て、よかった。
子供たちが一緒じゃなくて、よかった。
大勢でわいわい見学に来るところじゃない。
一人で、よかった。
ここから、進まなくちゃいけない。
悲しみや、怒りに、身を任せず、ここから、進もう。
出来ることを、少しづつ。
それしかないから。