ハザードマップはそのまま活用するのが難しい
「平成27年9月関東・東北豪雨」により被災した乳幼児3人の母です。もし仮に万が一、また自然災害が起こったときのために避難先を知っていたいと思い、「防災課」を頼りに常総市役所職員に尋ねると、「安全安心課」が担当部署だと教えられたので行ってきました。「安全安心課」、初めて訪れる部署です。
今回の水害で赤ちゃんを連れて避難所に避難したが、夜泣きで迷惑をかけるからと避難所を転々としたママさんがいたようです。「赤ちゃんを連れていても安心して避難できる避難所が絶対に必要です。」と伝えました。
が、私一人がそんな事を懇願しても何かが変わるとは思っていません。いつかは全国すべての自治体に福祉避難所の設置が行き届くように、常総市でもマニュアル作成だけでなく、訓練を含めた準備をしていただきたいものです。
そして、
できる事を できる時に できる人が やればいい
なので、まずハザードマップを見てみようと思いました。今回の水害発生以前に作られた物なので今後に活かせる物ではありませんが、参考になるし、更新されれば比較にもなります。
一部貰ってきましたが、「このままでは全く活用できない」が正直な感想です。
*「国土交通省ハザードマップポータルサイト」にて、指定した任意の地域のハザードマップを見ることができます。興味のある方はここをクリック/タップしてください。
というのも、
ハザードマップとは、自然災害による被害を予測し、その被害範囲を地図化したものである。 予測される災害の発生地点、被害の拡大範囲および被害程度、さらには避難経路、避難場所などの情報が既存の地図上に図示されている。
だから、当然ですが、子供を連れて避難する人に特化した情報は皆無なのです。このハザードマップに情報を追加できれば使う人も増えるし、作る意味もあります。
例えば、
- 傾斜がきつい道
- 歩道がない道
- おむつ替えテーブルがある(用意できる)避難所
- 授乳スペースが用意できる避難所
- おむつをした子であっても入浴可能な施設はどこか
ママだから気付ける事がたくさんあるんです。いや、逆に、机に向かったおじさん方には悪いですが(市役所職員を非難するつもりはありません)、ママにしか気付けない事がたくさんあるんです。
こんな書き方をすると「じゃあお父さんは子供のことを考えていないというのか!」とか「お母さんがいない家庭に配慮して物を言ってください!」とか、いろいろと言いたくなる人は何処にでもいるものです。
言葉尻だけに反応するのではなく、大局を見るようになっていただきたい。
子供(特に乳幼児)を連れた方が安全に安全な場所へ避難できるように、そして少しでも落ち着いて避難生活を送れるように願っているだけです。
だからこそ、ママの意見が重要なんです。ママの計りで「ここは乳幼児を連れて行ける避難所だ」と判定できる避難所は、きっとママ以外の保護者が子連れで避難しても安心できる避難所であるはずなのです。
災害に見舞われたときに被害状況を確認したいときは
大雨が続いたり、局地的豪雨に見舞われたとき、テレビを付けて天気予報を見る方は多いと思います。現在はdボタンという便利なツールもありますよね。それと同時に、TwitterやFacebookなどのSNSを利用してリアルタイムの情報を得ることもとても重要です。
TwitterやFacebookでは、 「◯◯町がヤバイ」 「国道◯号線が冠水してる」 「うちの前まで水が来た」 など、近隣住民の生の声が飛び交うからです。
私が住んでいる茨城県常総市では、2015年9月に台風18号による大雨の影響で、鬼怒川が決壊、また、新八間堀川の越水により、床上浸水4,400戸、床下浸水6,600戸と大規模な被害を受けました。
この時も、TwitterやFacebookではテレビよりも早く、確かな情報を得ることができました。スマホが普及してからは特にSNS利用者が増え、写真付きの投稿がしやすくなったのも理由の一つでしょう。
このときに特にお世話になったのは、Facebookグループ「常総市、地元で正しい情報共有を。ぜってー常総を復活させる」でした。現在はグループ名が「常総市復興コミュニティ 常総市をぜってー復活させる!」に変更され、地元有志が中心となり情報共有を続けています。(2015/11/15時点)
私はと言うと、常総市を離れ市内の実家の様子を知りたがっていた友人、子供を連れて避難し自宅の様子を知りたがっていた友人、子供が通う幼稚園や学校の様子を知りたがっていた友人に、少しでもそれぞれの助けになればと、自転車で通れる道を探りながら(市内が至る所で冠水していて、車での通行はかなり不便/不可能でした)、高台から写真を撮っては、LINEで報告。
それを何度か繰り返すうち、LINEで一人一人に連絡するのは効率が悪いことに気付き、Facebookでグループを作ることにしました。グループ名は「常総市の被災ママと子供たちを応援したい」です。先に挙げたグループには有益な情報がたくさん投稿されているのですが、どこの病院の小児科は診察を再開したか、どの公園は水没したから遊べない等、子供がいるママ目線での情報に特化したグループを作りたかったのです。
それが、私の、子連れボランティア、ついでボランティアの始まりです。
水害後の住宅修理: 新しい断熱材として吹き付け断熱を選ぶ
我が家には、ビニール袋(?)に詰められた黄色い綿のような「グラスウール」と呼ばれる断熱材が詰められていました。
水害被害に見舞われた家屋は、壁や床を剥がし、断熱材を撤去した後、1〜2ヶ月の乾燥が必要です。
(ここから更に壁を壊すことになりました)
そして、新しい断熱材を入れ、壁と床を貼ることになりますが、我が家では「吹付けウレタン」や「発泡ウレタン」などと呼ばれる断熱材を吹き付ける工事をすることにしました。 (正式名称: 建築物断熱用吹き付け硬質ウレタンフォームA種3)
特殊な機械が必要な吹き付けウレタンですが、工事をしてくれる株式会社日本アクアの方が、吹付けウレタンの材料を混ぜるとどうなるかを見せてくれました。うわわー!って感じ。おもしろかったですよ。
DIY好きの方は知っている人が多いらしいのですが、発砲ウレタンスプレーというものもあるんですって。私もDIYは大好きですが、断熱材までは手が出せません。自分の能力を遥かに超えています。
ただ、吹付けウレタンはグラスウールやロックウールよりも機密性が高いため、断熱効果ももちろん高くなるそうです。実際に吹付けの様子も職人さんの背後から、こっそり見ていましたが、泡がみるみる膨らみ、隙間という隙間は完全に塞がれているように見えます。
今までは冬になると家の中でも吐く息が白く、暖房ガンガンだった我が家。今年の冬は寒さが和らぐことを期待しています。
床上浸水しても適用されない「被災者生活再建支援制度」
大規模な洪水被害に襲われた茨城県常総市ですが、住民の不安はまだまだ続いています。
被災者に対する支援が適用されない世帯が多すぎるのです。あれだけ連日報道されていた大規模水害ですが、多くの住宅が床上浸水したにも関わらず、床上100cm未満が「半壊」、100cm以上が「大規模半壊」と判定されます。(2015/10/10時点での半壊と大規模半壊の違い)
それを踏まえて、
「被災者生活再建支援制度の概要」を読むと、「3.制度の対象となる被災世帯」に以下の説明があります。
①住宅が「全壊」した世帯
②住宅が半壊、又は住宅の敷地に被害が生じ、その住宅をやむを得ず解体した世帯
③災害による危険な状態が継続し、住宅に居住不能な状態が長期間継続している世帯
④住宅が半壊し、大規模な補修を行わなければ居住することが困難な世帯(大規模半壊世帯)
我が家は素人判断で床上30cm。①、②には該当しません。③については私個人ではわからなかったため、問い合わせたところ、
③危険な状態というのは「火砕流等により被害が発生する危険な状況が継続すること」、あるいはこれに匹敵する程の状態をさします。今回の水害では③は当てはまらないことになります。(長期間がどのくらいかについては一般的に決められているわけではなく、県が諸般の事情を総合的に判断する事になります。
との回答をいただきました。
結果、今回の水害では多くの世帯が(現時点では)半壊と判定されているため、この制度が適用されない、ということになります。本当に残念です。
被災者生活再建支援制度については下記リンクをご覧ください。
http://www.bousai.go.jp/taisaku/seikatsusaiken/pdf/140612gaiyou.pdf
被災地で開催されるクロネコキャラバンとは?
クロネコキャラバン=家具や家電の移動販売
クロネコキャラバンを初めて耳にする方も多いかと思いますが、実はこれ、東日本大震災の復興支援として始まった事業の一つなんです。
台風18号の影響による洪水被害に見舞われた茨城県常総市では、家財を失った被災者がたくさんいます。
家が流されてしまった方はもちろんのこと。床上浸水した場合、家財はゴミ同然になってしまいました。水が引き、自宅に入れるようになると、まずは家財を家の外に出し、街中が粗大ゴミだらけになりました。それも、個人で粗大ゴミ集積所に持ち込んだり、収集車が回収してくれたりしたので、災害から1ヶ月弱も経つと、街中もだいぶ片づけられました。(とは言っても、普段の生活に戻れてなどいません)
まだまだ家屋の片付けに追われる人も多くいますが、修理が完了すれば、また家具や家電が必要になります。被災した家屋の2階に住んでいる人は、すでに必要になっているはずです。
そこで、ヤマトホームコンビニエンスが運営する「クロネコキャラバン」が開催されるとなれば、たくさんの被災者が集まることでしょう。
10/10(土)、11(日)には常総市で開催されますが、他の地でも開催されているようです。今後の予定はヤマトホームコンビニエンスのホームページで確認できます。
鬼怒川決壊現場。決壊から21日後、自分の目で現場付近を見て、歩いた。
あの日、自宅や実家の心配をしながら、鬼怒川の水量を見に行ったり、僅かな荷物を運んだり、友達の実家の様子を見に行ったり、とにかく心配でそわそわしていました。
そして、常総市三坂町の恐ろしい光景がテレビに映りました。
それからはテレビをつけっぱなしにして、これ以上被害が大きくならないように祈りながら、不安や心配を子供たちに見せぬよう、「普段のママ」を必死にやっていました。
それから数日が経ち、通行止めが解除され始めると、私は自分の目で決壊場所を見ておきたいと思うようになったのです。不謹慎な野次馬根性かどうか、自分でもわかりません。それでも、どうしても見ておきたかった。
自宅の片付けや支援物資の提供・運搬、慣れない環境での生活、子供たちの体調不良、等々、全く行ける気がしません。
そして、災害から3週間。
天皇皇后両陛下が被災地・常総市を訪問される今日、やっと、行ける時間ができました。
天皇皇后両陛下が訪れる1時間ほど前に、三坂町を、決壊場所付近を、歩いて見てきました。
横倒しになった家屋、斜めに傾いた電柱、ひっくり返ったままの車両、寸断された道路。
涙が出てきました。
言葉に表せない感情が込み上げました。
テレビで見る映像はどこかフィクションのように映ります。世界各地で発生する災害、紛争、事件、事故、テレビを通すと、どこか「自分には関係ない」ように映るのは何故だろう。
こんなにも近い場所で実際に家が流されたりしているのに、やはり、自分の足で歩いて、自分の目で見るまで、ほんの少しだけ、「嘘かもしれない」「信じたくない」気持ちがあったのかもしれません。
デコボコの土地、ところどころ水溜りがあり、工事車両がある。電柱は斜めになり、民家が傾き、生命の気配がない。
足裏から伝わる大地のエネルギーから、「嘘じゃなかった」を実感。
一人で来て、よかった。
子供たちが一緒じゃなくて、よかった。
大勢でわいわい見学に来るところじゃない。
一人で、よかった。
ここから、進まなくちゃいけない。
悲しみや、怒りに、身を任せず、ここから、進もう。
出来ることを、少しづつ。
それしかないから。
福知山市の被災ママさんたちから学んだこと
基本は、水に浸かったものは捨てること。特に重要な分かれ目は、子供のものか大人のものかってところでしょうか。
子供は口に入れたり、かじったり。おもちゃなど、もったいないと思っても捨てるっていうのは、そういうことかな。それでも、捨てたくないものは、徹底的に消毒が必要なのでしょう。
思い出の詰まったものがたくさんあったことでしょう。捨てたくないものがたくさんあったことでしょう。それでも、ママたちは家族の健康を案じながら選別しているんです。子供たちも、いつかきっと、おもちゃを捨てなければならなかったこと、理解してくれるはずです。
常総市の子供たちが一日も早く、平穏な生活に戻れることを願いながら、明日も一日がんばりまーす!
ご協力いただいた福知山市のママさんたち、ありがとうございました。
水害から復興を遂げた福知山市の被災ママたちが教えてくれたこと
福知山市の被災ママさんたちから学んだこと(当記事)
福知山市の被災ママさんが教えてくれたこと
【福知山市のママAさんが教えてくれたこと】
「ちょっとでも水に浸かったものは、消毒して洗ったとしてもどんなばい菌が付いてるか分からないから、破棄して下さい。」と保育園からお願いされてたよ。
それをもったいないからと、使う人ももちろんいたと思うけど、私は棄てた。
まだまだ使えそうな、キレイな家具も山のように棄ててあったので、ちょっとでも浸かったものは棄てる人が多かったと思うよ。
家は、壁も剥がして、床も業者に依頼して床下洗浄。
床上浸水した家は、市から50万円の助成金が出てたけど、それでは全然足りないよね。保険に加入してなかった人は踏んだり蹴ったりだと思うよ。
洗浄業者も忙しくてなかなか来てくれないので、それまでは、二階がある家の人は二階で生活して、二階がない人は実家に戻ったり、違うアパート借りたり、市営や府営の空いてる部屋に一時避難させてもらったりしてたんだと思う。
元のアパートに戻るまで半年以上かかった友人がいたよ。
【福知山市のママBさんが教えてくれたこと】
新築の一軒家が床上浸水。
うちは家財に入ってなかったから、全部は変えれなかったんや。
おもちゃは浸かった物は全て捨てて、自転車は高圧洗浄機で洗って今も使ってるよ!消毒という、消毒はしてないな。
家具類は駄目なものは捨てたけど、椅子とかはアルコール入りの物で何度も洗浄して使ってるし、塗装した分もあるな!
床は変えなかったから、アルコール消毒して、ワックス5回掛けしたよ! 壁は断熱材が入ってるから、壁を切ってクロスは張り替えたよ!
食器棚とかは、食器用の赤ちゃんとかに優しい消毒液を使って除菌したかな⁉︎
うちはまた水が浸くかもしれないと思って、使える物は消毒してつかってるな!
【福知山市のママCさんが教えてくれたこと】
賃貸アパートが浸水。
玄関が一階で部屋が二階タイプの二階に住んでて、一階の床上2メートルくらいまで浸水して、あと階段1段で、二階の部屋も浸水するところだった。
一階が玄関だから、玄関にあったものは全て棄てたよ。
アパートは浸水した所は張り替えてリフォームしてくれたんだ。
【福知山市のママDさんが教えてくれたこと】
実家が床上浸水。
とにかく、泥を洗う。泥をとる。なんでもかんでも捨ててたらお金がつきるから、三輪車とか自転車ぐらいなら水で洗ってハイターを薄めたので消毒したら乗れると思うよ。川の水やし錆びんと思うけどな。
家具とかは木製やったらたぶん後からふやけて閉まりが悪くなると思うよ。自分が使うのに許せる範囲で。
家は床下に泥が入ってるなら取れるところはとりたいところやね。ただ、今時の家は床下に入れんかったりもするから、入れるならとった方がいいよ。あとで、泥のくさい臭いが上がってくるから。
床下に入っての作業とか捨てるものを集積所に持っていく作業とかをボランティアの人に頼んだり、うまくボランティアを使って疲れを少しでも軽減しないと長丁場の作業になるだろうから。
拭いても拭いても泥が浮き出てくるんだよね。最初は、あれ?昨日キレイにしたはずなのに‥?って不思議に思ってまた洗うんだけど、次の日になると、またドロドロで、またか‥。という感じ。
<Dさんの職場(飲食店)>
2メートルくらい浸水したんだけど、木材を使用した床だったから、水分を含んで膨張して、ボッコボッコしてた。
飲食店だったから、浸かった物は全部棄てて、お店はリフォームして去年の8月に被害にあって今年のゴールデンウィークにやっとリニューアルオープンできたよ。
【福知山市のママEさんが教えてくれたこと】
家の中は高圧洗浄したあと扇風機を24時間回しっぱなしで床下や家の中を時間かけて乾かした。
そのあともアルコールとかで何回も拭いた。 とくに台所とか… 乾くまで物は置かない。
おもちゃ→捨てた。 三輪車→舐めたりする可能性があったから、捨てた。 自転車→綺麗に洗って使ってる。
家具→洗って使える物は洗って使ってたと思う。木製の水を吸って変形するよぉなものや子供に関する物は捨てたかな〜。
壁や床→状態によるケド、2回浸水したら、張り替えしてた気がする。
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水害発生!先人の知恵を乞うしかない!
今回の常総市の水害発生から数日後、京都府福知山市在住の友人から「何か出来ることがあれば力にならせて!」と連絡がありました。当初は個人的な物資提供を申し出てくれたので、ありがたく受け取りました。それで十分です。彼女と連絡を取るたび、心配や応援のことばに涙が出ました。それでも、他に必要なものは?何が要る?と気にしてくれています。
それから更に数日が経ち、片付けや掃除に追われている時、ふと閃いたのです。福知山の友人に一番頼りたいことがハッキリと明確に。
それは「先人の知恵を貸してもらう」ことでした。
平成26年7月30日〜8月26日かけて、台風11号、12号および前線と暖湿流より日本の広範囲で豪雨が発生。8月16日〜17日に掛けて降り続いた豪雨により、京都府福知山市の市街地などが冠水する大規模な洪水被害をもたらしました(後に気象庁が「平成26年8月豪雨」と命名)
常総市の被災ママたちは皆、子供たちの衛生面の心配をしているはずです。住宅や家財はもちろんですが、おもちゃや三輪車、自転車など、子供が直接触れるものはどうするべきか。私たちはこんなに大きな水害に見舞われたことがないので、知識がありません。
そこで、水害に遭い復興を遂げた経験者の知識を分けてもらうため、友人のママ友たちに、廃棄したもの、消毒して使ったものなどを教えてもらいました。片付けの段階が終わっているご家庭も多いかもしれませんが、とても参考になります。ぜひ、読んでみてください。